大聖寺実業高校の課題研究授業にお邪魔してきました!     ~Day1工業科~

2021.11.19
お知らせ

あくるめ財団は今年度、加賀市から【高校魅力化事業】の推進地域コーディネート支援業務を受託し、教育委員会に着任された魅力化スタッフと一緒に活動しております。

先日はその一環で、石川県立大聖寺実業高校の課題研究授業の視察に二日間にわたり行って参りました。そのレポートをお届けします。

地域の方から「実高(じっこう)」の愛称で親しまれている大聖寺実業高校は、昭和40年に大聖寺高校から商業科が分離し開校いたしました。現在は、工業科(機械システム科・電子機械科)と商業科(情報ビジネス科)の二つの学科があります。

初日は工業科の3年生の課題研究授業へ。母校以外の高校に入らせていただくのは初めての体験なので、少し緊張しながら正門をくぐりました。

課題研究授業とは、3年生が1年間かけて「自分たちのやりたいプロジェクトをグループで実施する」授業です。1週間の中で3時間の授業時間が割り当てられています。

最初に伺った教室では…。


パソコンを覗くと、3次元製図のソフトを使ってドローンを設計していました!高校生がドローンを作ってしまう時代なんですね…ドローンを飛ばしたことも触ったことすらもない私は目の前の高校生の姿に驚きを隠せませんでした。

「ドローンの重さをどれだけ軽くできるか」に挑戦されているとのことで、画面に向かう姿は未来を担うエンジニアそのもの。

コンピューターを使っている男性

自動的に生成された説明


同じ教室に3Dプリンターもあり、充実した最先端の設備機器を生徒らは大いに活用している様子でした。昨年は蘇梁館(大聖寺に移築された旧北前船主屋敷)の老朽化した180年前の真鍮製の襖の引き手を3Dプリンターで復元させたそうですよ。

金沢大学の工学部と共同で実高生がIoTの基盤を使って小中高生向けのソフトウェアを開発中。実高生が市内の小中学校にプログラミングの出前授業を行うことも今後計画中だとか!楽しみですね!

次は、ロボコングループの教室へ潜入しました。

ロボコンとはロボットコンテストの略で、参加者が自分で製作したロボットを使い、さまざまな課題の克服を競う大会です。このロボットに、指定の場所にボールを入れるようにプログラミングして動かしています。

こちらは、マイコングループ。マイクロコントローラ(マイコン)を搭載した模型自動車が、コースを自律制御で走り抜けるタイムを競う競技です。

グループの仲間で分担して開発し、情報共有し、組み合わせて初めて動くロボットやマイコンカー。機械、電気回路、制御といった技術に関する実践的な知識と経験を習得できるだけでなく、生徒らにとっては、プロジェクトを通してチームワークやコミュニケーション能力も磨くことができる貴重な機会になっているんですね!

企業等に就職した後も役立つ知識や経験が身につくことだけは、機械音痴の私でも容易に想像することができました。

こちらは溶接グループ。

小松製作所の社員の方が外部講師として教えにいらしてました。

その後ろで、なにやら溶接した鉄骨で椅子を製作している男子生徒たちを発見!

「そこ座ったら折れんけ!?」「ダメやろ!」「いや、お前座ってみ?」といった和気あいあいとした雰囲気に、〇十年前の自分の高校時代を投影し、「あー青春だなぁ」と微笑ましく眺めてしまっていました。

突如、先生から見学していた我々に質問が投げかけられました。「これは何を作っているでしょうか?ヒントは中学校で使われます。」

「給食で使うワゴン車ですか?」 「机ですかね!?」 「駐輪場の骨組み!?」

「いえ、違います。正解は、グラウンドを整地する道具です!」固まったり、でこぼこ凹凸ができてしまったりしたグラウンド。その時にこのピンのついた装置を軽トラの後ろにつけて引きずることで、固まった土が堀り起こされ適度な柔らかさのグラウンドになるんだそうです。

地域の中学校から依頼があり、設計し、トライ&エラーを繰り返して製作し、納品して感謝される。そして改善点があれば、翌年度の生徒がまた試行錯誤して課題を解決する。ピンの長さを何ミリにするか…角度をどうするか…、学んだことを、地域の困りごとを解決しながら実践することで、技術の向上とモチベーションアップにもつながっているそうです。

「彼らが卒業してどこかメーカーに就職したときに、たとえそれが、一本の釘や機械の一部を作り続ける仕事であっても、その先にできあがる商品や人の顔がイメージできるかどうか。たとえ組織や製造ラインのひとりであっても、なぜ今自分がこれをやらなければいけないのかと前後を想像し、社会や誰かの役に立っていることが実感できるかどうか。そこを大切にしています。」 という先生の声に、 まさに、ここでは世の中の「ものづくり」のイロハを高校時代に体感しているのだと感動しました。

もう一つ、私が工業科の取材をしていて心を動かされたことがありました。

あくるめ財団で過去に助成した「ものづくり」を生業にされているある社長さんのお言葉を思い出したからです。

「ものづくりの楽しさは、ものづくりをやっている人でないと教えられない。

その言葉通り、ここで出会う先生方自身がものづくりを楽しみながら真剣に生徒らに向き合い教えていらっしゃいました。その姿と熱量を感じられる学びの環境が、大聖寺実業高校にはありました

こちらはCNC旋盤と呼ばれる機械です。この機械を使う国家資格試験が先日行われ、受験した生徒全員が合格されたそうです。

「会社はこの機械を使える人が欲しいんじゃないんです。トラブルがあった時にどこを修正すれば良いのか判断できる人、1,000個作るのに〇秒削減すれば一個あたりの儲けが〇円出て、その為にどこのプログラムを変更すればよいかと考えられる人が欲しい。この旋盤の資格は、段取り、下準備、改善の要素を含んでいる難しい試験なんです。最初はこのアルファベットの羅列が何を意味するのかもちんぷんかんぷんの子ばかり。だけど、形式的・機械的に、何度も何度も練習しやり続けることで、それぞれのアルファベットの意味が浮かび上がってくる瞬間が訪れるんです。それが面白いんです!」

今年、受験したみんなが合格しました。資格試験のために、この課題研究授業の時間で週3時間、選択授業で+4時間勉強した。それでも足りないので、みんな放課後の2時間も残ってやっていました。正直、もしかしたら合格するのは難しいかも?と思う子もいたけど、その子は諦めずにすごく練習をした。2人ペアでこの機械を使って練習するので、その時にもう一人の子が、「違うぞ」「それ以上やったら危ないぞ」等と指摘しあいながら練習するんです。それがお互いにとってとても良い。最終的にはですね、本番の試験で一番できなかったその子が一番高得点で合格したんです。すごいですよね。資格以上のことを学べたってことが私は嬉しいんです。」

そう話される先生の言葉、眼差しが温かく、こんな素敵な先生の元で学べる実高生は幸せだなぁと思わずにはいられませんでした。

こちらの女子生徒のチームは学校からの依頼で機能的な用具庫を作っていましたよ。

こちらはロボットや電子掲示板を作っているチーム。細かい作業に没頭する生徒のひとりに「大変ですか?」と質問すると、「普通の授業より楽しいです。1~2年で学んだことが役に立っています。」と一瞬手を止めてしっかりした口調で答えてくれました。そして、少しはにかみながらまた作業に戻っていきました。

Day2 商業科編に続きます。

この記事をシェアする

FacebookTwitterLINE